強電解酸性水,強酸性水,超電解水,強酸化水 資料館

電解水の殺菌作用について

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大阪歯科大学口腔解剖学教室
非常勤講師 大西 周
1996年執筆

歯科業界では、電解水の殺菌作用について、ペーハー(PH)、酸化還元電位(ORP),残留塩素濃度、溶存酸素というファクターの中でいろいろな推論が発表され、その殺菌の主要因がいろいろと変遷しているのは事実である。電解水の場合、作用機序が明確にされなければ、どの時点で殺菌作用が消滅したかが判らなくなり電解水の良さである、簡単に通常の水道水に戻ると言う特徴がかえってデメリットとなってしまうことになる。

最近では塩素主要因説が浮上しているが、これも私にとっては納得のいく物ではない。塩素殺菌は我々歯科医師にとって何十年も前から使用してきた物であり、塩素を主体にした薬剤は、今もたくさん使用しており、その作用の残留性や殺菌作用の特徴を理解している。

電解水における殺菌作用の即効殺菌性や作用の残留性のなさを考えれば、少し違うのではないかと引っかかってしまう物があり、導入に踏み切れなかったわけである。

しかし、本年5月に開催された電解水の小さな講演会で、電解水の、殺菌において非常に重要な発表に触れることが出来た。これは私の今まで理解できず引っかかっていた物を吹っ切るには充分な物であった。学生時代、データーを計測して、グラフ化したとき全く相関関係が無かったものが、対数グラフに置き換えた時、完全な相関関係を示した時の喜びににている。

発表された方は、高知大学の名誉教授である小川 俊雄先生である。

内容は、その殺菌作用を相対的物理量である電子活動度(Pe)で捕らえると言う物であり電解水に水虫を持つ足を漬けてその電解水を計測すると言う物であった。例えペーパーが2.56であってもPeが元の水道水と同レベルに落ちた時点で、その殺菌効果は消失しており、その主要因を水の分子が持つ電子活動度であると位置づけた物であった。

強電解酸化水は極端に電子の不足した水でありこのPeの効果により、接触する細菌から瞬時に電子を奪い取って殺菌に至らしめる。その結果Peが急速に低下し、効力を失う。このことが残留性や副作用を伴わない殺菌作用の原因と考える事が出来ると言う物である。

ここで一般的に強酸性水のメリットとデメリットを整理しておくと

メリット

デメリット

①即効殺菌性がある ①短時間で殺菌効力が消失する
②殺菌スペクトルが広い ②希釈に適さない
③短時間で効力が消失する ③少量のタンパク質や血液の混入で殺菌効力が消失する(0.1%混入)
④残留性、副作用がない
⑤刺激性がない ④金属を腐食させる
⑥使用後に普通水道水に戻る ⑤殺菌効力の有効性が判断しにくい
⑦環境に優しい ⑥浸けおき殺菌には適さない
⑧応用範囲が広い ⑦厚みがある細菌叢には表面殺菌しか行えない
⑨大量に使用しても安価である

強アルカリ水の応用
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強アルカリ水は強酸性水を生成するとき副産物として生成されてしまう。この強アルカリ水には、タンパク質や血餅を溶解する作用があり、強酸性水の殺菌時、併用する事は、強酸性水の欠点である少量の蛋白質や血液の混入による殺菌効力の消失を最小限に抑えるとともに厚みのある細菌叢を溶解して強酸性水の殺菌効果を最大限に引き出すのに有効な方法である。

当歯科医院での導入検討と臨床応用
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導入検討

①  生成時Peを表示する事が望ましいが、出来なければ酸化還元電位の基準値を明確にする。
②  強酸性水による殺菌に切り替える事の出来る内容の検討とその殺菌方法が、確実であり診療の流れにマッチする事。
③  スタッフに負担が掛からないこと。

 具体的導入検討

従来の方法

強酸性水

手洗いへの導入 薬剤、洗剤による殺菌
(中途半端で不十分な時もあった)
① 簡便であり自動センサー付きの為スタッフが頻繁に手洗いを行うようになった。
② 手荒れが良くなるスタッフが出た。
器具の滅菌 薬剤に浸漬後、オートクレーブ①薬剤の浸漬
②水道水流水下にて血液の除去
③オートクレーブ
あまり感染の気遣いの必要のない物と血液が付着して確実な滅菌が必要な物とに分類
① 強アルカリ水に浸漬
② 強酸性水の流水にて殺菌
完全滅菌の場合
①強アルカリ水に浸漬(容易な血液の溶解)
② 水道水で簡単な水洗
③ オートクレーブ
印象剤の殺菌 流水洗浄後、石膏を流す。 ① 強アルカリ水で血液などの除去
② 強酸性水の流水にて殺菌
手術後の応用 口腔内の殺菌と治癒促進をねらって手術後に強酸性水で洗浄
根管治療への応用 抜髄後に洗浄
手術中の止血 インプラント手術時、歯肉切開し歯槽骨を露出させたとき殺菌と止血
 

●参考文献
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食塩添加強酸性水の場合
 

絶対温度

酸化還元電位

水素基準酸化還元電位

容存酸素PPm

残留塩素濃度

ペーハー

電子活動度

入れる前

291.15

+1.170mV

+1.376mV

19.5

20.0PPm

2.34

23.8

浸漬2分後

293.65

+910mV

+1.116mV

9.0

5.0PPm

2.36

19.1

強アルカリ水に30分浸漬後2分濯いだ後絞り,無添加強酸性水に2分浸漬後雑巾を濯ぎ絞って取り出した後の強酸性水の物性がどのように変化したかを測定した(表8)

表8
 

絶対温度

酸化還元電位

水素基準酸化還元電位

容存酸素PPm

残留塩素濃度

ペーハー

電子活動度

入れる前

291.15

+1.110mV

+1.316mV

27.2

5.0PPm

2.50

22.8

浸漬2分後

293.65

+1.098mV

+1.304mV

20.0

2.0PPm

2.54

22.4

 

結果:2分浸漬後も殺菌に十分な電子活動度を有しており,そのため完全な殺菌が行えたものと判断できる。

強酸性水に一回雑巾を浸けても電子活動度の低下は微量であり,強アルカリ水との併用であれば雑巾の殺菌もある程度強酸性水で可能ではないかと推測出来る。

考察:強酸性水だけで雑巾などを殺菌する場合,残留塩素濃度は50PPm以上必要であると考えられ,無添加強酸性水だけでは雑巾などの殺菌は不十分であると考えられる.また同様に現在最も普及している食塩添加型バッチ式強酸性水生成器の残留塩素濃度は30PPm程度であり,このタイプの器械で生成した強酸性水でも殺菌は不十分と考える。

また残留塩素濃度が高ければ腐食や歯牙脱灰の問題など弊害も多く,強酸性水単独で何でも殺菌できるという考え方はもたない方が良いと考える。

それよりは強アルカリ水をうまく活用して強酸性水の特性を引き出すことにより完全な殺菌工程を確立することが必要であり,この特性を理解すれば無添加強酸性水は歯科診療において手放すことのできない素材であると思えるようになって来た。

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結語

無添加強酸性水の場合も残留塩素濃度を落とした強酸性水も口に含んで5秒後には水道水の10倍以内まで電子活動度が低下することは確かである.それに対し食塩添加で残留塩素濃度を高めたものは,5秒口に含んでも電子活動度は通常の水道水の105倍あり水道水レベルまで低下していないことが分かった.また無添加強酸性水の場合,口に含んで10秒後には水道水と同レベルになることが分かった.ただし位相差額微鏡で確認する限り残留塩素濃度が0.8ppm以下であっても電子活動度があればすべての強酸性水に殺菌作用があることが確認出来た。

しかし残留塩素濃度の低い強酸性水は,少量のタンパク質やアミノ基が存在したり少量の希釈によって瞬時にその殺菌力を喪失することも分かった。

また残留塩素濃度が殺菌効力の持続時間に大きく関与していることが分かった.それとともに希釈やタンパク質の影響を受けても殺菌作用が持続するためには,残留塩素濃度が大きく関与していると考えられた。

しかし目的とする電子活動度の変化により殺菌効力を判定することが出来ると言うことも分かった.すなわち残留塩素濃度は殺菌の持続作用に有効であり,強酸性水の殺菌の主要因は電子活動度であると考えられる。

ただ無添加強酸性水を口に含んだ場合,口腔内にはだ液やアミノ基やタンパク質や雑菌が存在しており,口腔内粘膜と触れることも電子活動度を急激に低下させる要因であろうと考えられる.電子活動度が急激に低下すると言うことは口腔内においても流し台などにおいても腐食や歯牙脱灰などの影響はほとんどないと判断出来るが,実際の実臨床上殺菌に使用する場合,これらアミノ基やタンパク質を十分に落としてから殺菌する必要性がある。

現在強アルカリ水のタンパク質溶解作用が確認されており,強酸性水生成時電気分解によって生成される強アルカリ水で十分にタンパク質を溶解しておき,無添加強酸性水で殺菌することで腐食原因や歯牙脱灰などの影響のほとんどでない強酸性水の確実な殺菌が可能になると判断する.元々強酸性水メーカーでは厨房機器関連で使用される際,ふきんや雑巾の殺菌は強酸性水の苦手とするところであったが今回の実験では強アルカリ水に30分程度浸漬させておき,その後強酸性水で殺菌すれば十分な殺菌効果が得られることが分かって来た.しかも強アルカリ水には漂白作用もあり,ふきんなどの汚れが30分も浸ければ洗剤なしで非常に奇麗になるとのことである。

ただ,今までふきんなどの殺菌をする場合30PPm程度の残留塩素濃度では不十分な殺菌状態になるため50PPm以上の残留塩素濃度のものを使用しているところもあると言うことである。

また塩素はビタミンやグルタミン酸などと反応するため,うま味に変化を起こしてしまう事もあり強酸性水の使用範囲が狭められていたとのことである。

歯科臨床の場合もアルギン酸印象材などは十分に強アルカリ水で洗浄しておき,その後強酸性水で殺菌する方法を考える必要がある.またインスツルメント類は,強アルカリ水に浸けておき、血餅などを溶解させてから強酸性水で瞬時に殺菌することが良い方法であると考える。

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